『LESS THAN A STORY』のこと
この蛇足を出すのは受け取り方の正解を示すためでなく、わけわからん!受け取れんかった!という方に、描いた側としてこういう読み方はいかがでしょうかという一つの視点を提供できたらという意図からです。(今回長い割に爆速で場面が転換するのでわかりづらい部分多々あったと思います、不親切同人誌で申し訳ないです…)
並べたら1・2は主人公がオベロンに手を差し出していて、オベロンはわずかに左手をゆるめるだけだけという絵になっています。0で主人公が左を見ているのは、漫画は右→左へ物語が進んでいくので、先を見ている主人公(まだ旅の途中)と、彼と逆を見ているオベロンの構図を描きたかった感じかもです。
大切な、涙の滲んだ視界で見たのになぜか鮮明に覚えているような出来事って繰り返し思い出すうちに補正がかかっているのだと思います。頭じゃなくて感覚器が感じたままを留められるのなら、最終特異点は心臓がうるさくて視界は滲んでいて足はフラフラみたいな、そんな妄想です。
ふたりとも互いに「会いたいと願ってしまったのか?」「召喚の声がうるさすぎたのか?」と色々想像してみたりしたけど、もうどうでもいい、「呼んだだけだし、それに応えただけ」と投げ捨ててその先に行くような、雑なオベぐだがあってもいい…(ほんま何?)
拙作お手にとってくださり本当にありがとうございます。星の数ほどある二次創作のなかでこの話が本棚の幅をとる機会をいただけた、ご厚意と巡り合わせが嬉しいです。
オベぐだ♂個人誌『LESS THAN A STORY』について、大体ヘキの話になってしまいますが、思ってたことを書いていきます。長いし最初から最後までひどいネタバレです!
LESS THAN A STORYの話
テーマについて
なぜカルデアに呼んだのか?なぜそれに応えたのか?を起点に、カルデアで見たいオベぐだの混乱について妄想しました。オベロンの召喚ボイスが好きです。
この疑問について本冊子でのネタバレを先に答えると、カルデアに呼んだ・それに応えた理由は最後まで「わからないまま」です。わからないけど呼んじゃったし召喚しちゃったね。
タイトルについて
「LESS THAN A STORY」、直訳すると「お話未満」くらいでしょうか。スーパー意訳で「あわいの点綴」としました。”愛と希望の物語”といわれた主人公の物語のなかで、オベロンが出てくるページはほんの一瞬だろうと思っています。
主人公の舞台裏とオベぐだのとるに足らないお話未満、「あわい」のことを結びつけてなんとか一冊にしました(点綴)というタイトルでした。
扉絵について
枠の外が見る側、枠のなかが見られる側です。見る側が見られる側の物語へ入っていくイメージです。
短編について
本作に含まれる作品は、時系列に前後はあるけれどすべて同じ世界・時間軸で起こっている物語です!「0. うわごと」~「piece 5 名前はまだない」まで、同じオベぐだ♂です。
「0・うわごと」
妖精王の顔して大嘘つきなLB6のオベロンを見たかったので入れました。
主人公のカルデア召喚に対するポジティブ感情として、せっかく出会えた縁をもう一度・是非この戦いの力になってほしい、というものがあると認識しています。
ずっと怪しいと思いながらも汎人類史の英霊として力を尽くしてくれている、ここまで旅してきた間柄なら信じたくて「いつか来てね」て言いそう…言っててほしい~不安と本気が綯い交ぜな心で…
ピュアに「行きたくねえ」と内心思いながら、それまで吐いてきた「戦闘では力になれないよ」をここで繰り返し、敵になる明日を知りながら未来へ委ねる悪役ムーブするオベロンを見られてよかったです。(何?)
行きたくないでは角が立つ、行きたいとは到底言えない、だから「呼ばれたなら力になる」という、己の「どうしたい」をはぐらかしてサーヴァントという役割を甘んじて受け入れる素振りをするのは、対・主人公で隠す気が無かったと言ったLB6のオベロンぽいのではないかと勝手に思っています。
でも🍄センセーの書くぐだって大胆でちょっと意地悪でいたずらっぽいんですよね。この素直な勧誘は根も葉もないわたしの妄想です。
純粋に「会いたい・力になってほしい」という動機を全面に押し出してオベロンのカルデア召喚に臨むことは主人公はないだろうと妄想していたので、「うわごと」で芽が摘まれた状態にしたかった感じがあります。
前夜、リセットなので「0」です。
「1・うるさくて眠れない」
オベロンとの間の混乱を解消したいと思いながら、踏み込み方を考えあぐねているぐだと、心の壁の厚み5kmくらいオベロンを見たかったので描きました。VD後に描いたらもう少し違った表現になったかもしれません。
召喚の感情が「初手・混乱」なオベぐだ…味わいがある!
会いたいか?力になってほしいか?と言われたら完全に否定できないけど、汎人類史を滅ぼさんと挑んだオベロンに対して、主人公がはっきりとそれを望むことはなさそうだと思います。妖精国の終わりとともに奈落を落ちていくオベロンの終幕を、まだ終わらない嵐の旅路にいる主人公が「それでいい」と重ねて呟くシーンがとても好きです。
汎人類史が落とす光と陰影を波のように身に受けてなお「それでもここで生きていたい」と望む主人公は、落ち込めば世界に対してどうこう思う日もあるだろうけど、どこまでもひとりの誰かとして立ち続けている気がして、その質感に思いを馳せています。
オベロンの召喚は、暗幕のなか、舞台裏で中継を見るような距離感を妄想しています。
マイルームの何もないところをオベロンが振り返ってるシーン
霊体化した巌窟王がいる裏設定があります。すみません。
アルトリアとのバドミントン
アルトリアに「オレがわかってない本当の気持ちも見えてるのかな」と言った主人公に、アルトリアが「どうでしょう」とはぐらかすところです。
隠された「本当の気持ち」などなく、再会への戸惑いと罪悪感、それでも嬉しい以外がない、打算のない素直さだから”言うまでもない”と微笑んだのかなと思います。
オベロンの要領を得ない独白
なぜ召喚に応えてしまったのか?に対するオベぐだの妄想です。
奈落で落下中のひねくれものを愛でもないのに思いを馳せるもの好きが、架空でなく現実にいたのなら、うるさくて仕方ないんじゃないか?て感じです。
ひねくれもののオベロンを愛したティターニアへ、台詞以外の言葉を許されない彼女への愛の証明として汎人類史の終焉に挑んだオベロンは奈落で落ち続けるけど、ティターニアでもないくせに己をまだ呼ぶ誰かがいるのなら、いい加減目え覚ませとヤクザキックを…したりしない?してほしいな…
そういう理由もあるんじゃないか?とオベロンも召喚の理由を考えるけど要領を得ません。
わからないことはわからないままです。
主人公自身の「オレがキミを呼んだのか?」という戸惑いは見えているけど、主人公って"それどころじゃない"ことで頭いっぱいにしてるはずの存在で、そんな人間がサーヴァントに対して助けたいなんてのたまうところ、見たくて…
わかりづらいけど「おまえの助けなんかいらない」とは「いいから黙って前だけ見てろ」の意味なんじゃないでしょうか。
どこへでも行ってしまえと吐き捨てて別れた相手がなぜか己を連れて行く、傲慢と気遣いのバランスがおかしい面倒臭い相手にほっとけを言ってくれるのは、せめてもの情けなんじゃないでしょうか!(?)
「piece 1 黒点」
「オフの日」への導線です。時系列的には「1・うるさくて眠れない」の途中くらいなので黒背景になっています。まっさらな汎人類史をバックに、キミもカルデアの一人だと言われても「え?正気?笑」くらいでヘラヘラ嬉しそうに笑うオベロンが見たかったので描きました。召喚自体は心底うんざりしてるけど、99%滅び散らして虫一匹いない静かなそこは、結構凪いだ気持ちで見てくれるかもしれない…虫もヒトも勿論ティターニアすらいるはずもない、漂白の世界です。
「piece 2 絆Lv6間近」
絆Lv6になると公開されるあのプロフの原文は、主人公が書いた体でもいいし、それをオベロンが修正するでもいいな…(すべて妄言です)
「piece 3 オフの日」
むかつくからむかつくと言っただけで、じゃあ主人公がどうしてたらいいとかそういうのは全く無いオベロンが見たかったので描きました。オベロンが「終末装置」を自称したように、人格を持つ対象に特別な感情を抱いているというより、その構造・状況を嫌悪するというか…そんなイメージです。
少し脱線するんですがオベロンの情けは、定められた・あるいは届かない声しか持たない存在、ティターニアを思わせる要素を持つ対象に向けられるように見えます。
ひねくれものを愛したきみという呼びかけの行間に、ひねくれ者を愛す彼女をまたオベロンも愛したのだろうと読んでしまい、素朴で可愛くて…この同人誌で主人公がオベロンに向けるのはハッキリした恋愛の情じゃないけど、ひねくれた彼に恐る恐る近づく、その悪あがきを憎みきれないオベロンのオベぐだがあっても…いいんじゃない?!
戻ります。
召喚時の「諦めた」は召喚するやつだって認識だ程度、「(汎人類史滅亡について)燃え尽きた」は今はやる気がないくらいで、「そうだとは言ってない(言った)」くらいの温度感だとわたしが嬉しいという妄想です。
ティターニアという呟きは、無計画な自分の気まぐれで今カルデアを襲撃しても絶対に止められてしまうという確信と、汎人類史がほぼ滅亡しかかっている状況こそ自分の理想に最も近いのだからやるなら慎重にと、あと普通にめんどくさくなったのかもしれないです。
オベロンと主人公は向かい合うと素直におしゃべりできないので(何?)、それぞれがいないところで本音の影がちらつけば嬉しいです。
「piece 4 進退なし」
「進退なし」まで来て、主人公がなぜオベロンを呼んだのか?でなく、呼んだのは今更、いるのだからじゃあどうなりたい?という、膠着状態から一歩抜け出すためのワンシーン、眼裏前夜のイメージで入れています。
え!?ここまで来てオベぐだ始まってないの?! そう、ここまでで既に40pくらいあるのに何も始まっていなかった!すみません、ほんとに…
「2・眼裏」
LB6で主人公の話を聞き、ちょっと拗ねてる?と言われたオベロンが、だって君のその旅も後から見る誰かはレポートを読み終わった物語として受け取るだろうというようなことを返すのが印象的でした。
君の心はどこにも行けなくなっているのだろうと言ったオベロンを、主人公がどう受け止めたかは失意の庭で明らかになります。その後オベロン自身は奈落で失意の庭乗り越えたのなんて軽い口調で聞くけど、彼の本音が見えていてもその旅路がどうだったかなんて実際に感じられるはずもないので、それ見てえ!と思って描きました。
本当は30pくらいの短編でさくっと終わるつもりが、60p以上になってしまいました。場面転換が多くて、それでも説明不足のところ多々あったと思います。読みづらくてすみません。。
タイトル
眼裏(まなうら)を調べると「かつて見た姿や情景が思い描かれる、目の奥。 まぶたの裏。」と出てきます。まぶたの奥の記憶、本人にしかわからない景色や本人すら覚えていないこと、記憶のあたたかさと迫る死の硬さを表したく、漢字で「眼裏」としました。
猫のシーン
あんまり意味はないけどオベロンが意地悪なのが描きたくて入れました。幼少期の妄想とか全然できなくて子どもを描くのが苦手そうなのが全面に出ていて、読み返すとぎこちなくてウケます。すみません。
ぐだとマシュ
オベぐだの本なんですが、それとは違う文脈でぐだとマシュの運命力はサビで…入れずにはいられなくて…しんどかったことは忘れたわけじゃないけど、乗り越えて今更引っ張り出してどうこう言わない主人公が好きです。今もしんどいことたくさんあるし、だからこその失意の庭だけど、今更だし。
眼の前で無理やり見せられるものに全く興味を持てないというのが大きいけど、今更だからオベロンが心を寄せることもないっていうのを見たかった気がします。
最終特異点のシーン
メタなんですがロマニを描くとどうしてもお涙頂戴になってしまうのもあったので描きませんでした。不在の輪郭で十分だと思います。
楽園のシーン
絵が雑すぎてわかりづらいのですが、埋まってるのは追憶の貝殻です。
キスシーン(1回目)
自分の走馬灯に付き合わせる=己の心のうちをオベロンにさらけ出す→オベロンを知りたいのと同じように知ってほしい、心をわかりたいのだという”近づきたい”のだという主人公からオベロンへ向ける矢印…という妄想を…この本では展開しています!
なんで悪いかわかってないのに謝罪を受けたときって虚しいですよね。「理解したい・されたい」の「理解ってじゃあなにをどのように?」を置き去りに、キスという心不在のお返し、不理解を突きつけられて、相手の心の遠さに主人公は傷ついた、みたいなかんじです。
これ自分で言うの超・恥ずかしいんですが、好きな映画のシーンを取り入れられて嬉しかったです。鱗がキャラキャラ剥がれるのは『千と千尋の神隠し』でハクが本当の名を取り戻すシーンのイメージです。ここの主人公はすべてが「本当」で出来ているのですが、全身鱗ですね。逆だな。
ドアは『トゥルーマン・ショー』で、主人公が最後ドア開けて出ていくところです。ここでは楽園のドアを開けると凍ったカルデアが待っています。旅は全然終わらないので。
ちなみにドアを開けたら別の場所へ行くのはよくあるやつ(インセプションとか)だと思うのですが、このときは『残酷で異常』をイメージしてました。過去から過去へ。
マイルーム
マイルームは誰にでも開かれていたけど部屋の主にやる気があるかは別問題で、好き勝手振る舞いたいときもある。
楽園以降、ただ記憶を掘り出すものから夢らしいものが混じってきて、ここでは布団をめくったらいるはずの主人公がいない、いるほうを向いて話しかけようとしたらいない、気付いたら冷蔵庫あけてアイス探ってる、という不可解が起きていますが、どうでもいいのでオベロンは特に突っ込みません。
映画館
良い終末を!ダジャレですみません。あそこは主人公が会うはずもない有り得ない誰かのいる場所、俯瞰の墓場、無意識の領域というイメージです。自分の意志や理性から浮き上がった無意識の場所で死をうっすら望む気持ちがあってもよいんじゃないでしょうか。
川
三途の川のイメージが強すぎる、また小舟と霧と川なんですか!?『星の残像』を思い浮かべてくださった方がいて嬉しいです。死のイメージがそうです。
コイン
川を渡るには6文銭が必要といいますが、使用できるはずもない記念硬貨を一回挟むのは、近づく死とそれでも行かせない、帰ると言いながら死に振れる危うい状況を少しイメージしています。
確か後書きに書いたのですが「うるさくて眠れない」で活躍できなかったアビーが、鍵を内側から開かれて迎えに来てくれるカッコイイシーンが描けたのが嬉しかったです。アビー、好きだ……………………ラストシーン
「キミに近づきたい」という言葉に呆れながら「あっそ」という、拒絶はしないオベぐだ♂エンドです。仲良し(?)エンドにできて安心しました。オベロンは拒絶のためにあえてきみと俺は互いを受け入れられないと言葉にするけど、でも理解しようと頑張りたいのだと言う主人公に、もう最初のころの「オレってオベロンを呼んだの?」は表面上出てきません。
キミがここにい続けてくれるので、あの白日夢には戻れないけど、足をもつれさせながらでもその先へと望む、オベぐだ♂だなという…妄想です!
オベロンもまた「俺は召喚に応じたのか?」という疑問は既に遠くなっています。なぜここにいるのか、召喚の理由は妖精眼をもってしても結局わからないけど。「今ここにあり続ける」という選択を前にそれらは遠く、仕方ないから付き合ってやるか…という諦めの姿勢が生まれ始めて、VDへと繋がっていくのも”アリ”だし…VDでオベロンが主人公の話を聞くために客間(汚)にあげてくれたのビックリしたのですが、公平なオベロンだから、主人公が先に扉を開けていたから開け返してくれたのかも?!と妄想してました。
読みづらいんですがモノローグの「(真実を見通す)この目が忘れたなら/これ以上(なぜ召喚されたのか)理由は求めない」は、「呼んだだけ/応えただけ」とポイと投げ捨てる言葉から続いていました。
【piece5 名前はまだない】
間違えて6にしてました!あー 慌てて描いたので目次にも入れ忘れました…
今度は「近づきたいって言ったから」という軽口もあり、悪意が無かったかと言われるとわかりませんが(オベロンのことは何もわからないから)とにかく、受け取り手の主人公側からすると論理だった行為じゃなくて意味不明の文脈のキスだったので、何コイツ~!?で終わっています。オベロンは逆に傷を受けてゲロ吐いてますが…
表紙
ひとつしかないドアを開け続けた主人公/オベロンの話が終わったあと、裏表紙にどこにも行けないどこでもドアが壊れてぽつんと置いてある感じです。薄膜のシャボン玉は綺麗だと思って触れたら壊れてあとには残らない、過ぎては消えゆくまなうらの幻想のイメージ、どこでもドアなんかふたりには無い、でも今ここに一緒にあるふたりだけは本当、みたいなイメージです。
滅茶苦茶長々と話しました、すみません。
このシーンどう?みたいなのあれば送ってみてください。私にわかるところなら喋るはずです(わからないまま描いたのでわからないシーンもあります)。
蛇足まで目を通してくださりありがとうございました!
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